1時間、2時間かけて作っていた記事が、WordPressが落ちて一瞬で消えてなくなってしまう・・・といった経験をなさったことがあるでしょうか。
たった1記事でも、多大なる時間が水の泡と消えてしまうのはかなりこたえます。
記事が一つ吹っ飛ぶくらいであればまだ何とかなりますが、万が一WordPress側に大きな不具合が出た場合、記事が複数消えたりすることも可能性としてはあります。
こういった事態を防ぐためにも「バックアップ」は非常に重要な作業の一つといえるでしょう。
こうした問題を解決してくれるプラグインが、「BackWPup」です。
目次
BackWPupはなぜ必要なのか
冒頭で述べた通り、バックアップをとることは非常に重要な作業の一つです。
ですが、実はWordPressは通常のサイトとは異なるシステムを用いているため、バックアップ方法が特殊なのです。
通常のWebページは、サーバー上にデータが全てある状態になるので、バックアップを取る際はこのサーバー上にあるデータだけでOKとなります。
一方でWordPressは通称「動的ページ」と言われていて、すべてのデータがサーバーに保存されていません。
サーバーには画像ファイルやプラグインなどのデータのみが残っており、肝心の記事やカテゴリ、コメントや管理画面の設定情報などはWordPressの持つ巨大なデータベースの中に格納されています。
つまり、サーバーとデータベースの2か所に自分のサイトのデータがある、という状況なのです。
ということは、バックアップを取る際はサーバーとデータベース両方でとらなくてはいけないということになります。
これを一挙に、しかも自動で行ってくれるのが「BackWPup」なのです。
BackWPupの導入方法
BackWPupのインストール・有効化は、管理画面左メニューバーから行います。
「プラグイン」から「新規追加」をクリックします。
検索窓に“BackWPup”と入力すると、先頭にプラグインが表示されるので「今すぐインストール」をクリックしましょう。
インストールが終わったら、忘れずに「有効化」をクリックします。
これで導入は完了です。
BackWPupの設定方法
まずは管理画面左メニューバーに「BackWPup」という項目が新しく追加されているのでこれを選択し、「新規ジョブを追加」をクリックします。

ではまず最初に、サーバーに保存されているデータを自動バックアップする設定を行います。
自動バックアップ設定<サーバー編>
サーバーの自動バックアップをする際に注意しておきたい点が2つあります。
- サーバーのデータのバックアップ頻度は週一回、過去3か月分程度
- 自動バックアップを行うタイミングは深夜
一点目の頻度設定ですが、これはサーバーに負荷をかけないようにするためです。
サーバーに保存されているデータは画像データがほとんどで、これらを頻繁にバックアップするとサーバーに負荷がかかってしまいます。
ですので、週一回のペースで過去3か月分くらいを取っておけば無難です。
二点目の時間帯設定ですが、何故深夜がいいかというと「アクセス数が少ない」からです。
バックアップ中はページの表示速度が低下します。訪問者が多い時間帯にバックアップしてしまうと訪問者はページを見づらくなり、結果離脱してしまう可能性があります。
この2点に注意して設定を行っていきます。
①一般設定

- ジョブの名前を設定
まずは赤枠内の「ジョブの名前」を決定します。
今回はサーバーのファイルバックアップですので、
「サーバーバックアップ」
にしておきます。
- ジョブタスクの設定
次に黄枠の「ジョブタスク」の項目です。
ここではサーバーのバックアップ設定を行うので、「ファイルのバックアップ」のみにチェックを入れましょう。

- アーカイブ形式の設定
緑枠の「バックアップファイルの作成」項目は、「アーカイブ形式」の部分のみ注意が必要です。
Mac OSを使っている方は Tar GZipを、Windowsを使っている方はZipを選択しましょう。
- ジョブ伝送先の設定
青枠内、「ジョブの伝送先」の設定では、「フォルダーへバックアップ」にのみチェックを入れます。
紫枠内のログファイルについてはデフォルトのままでOKです。
次に、スケジュール設定を行います。
②スケジュール設定

- ジョブ開始方法の設定
最初に、赤枠内「ジョブ開始方法」の設定をします。
ここは「WordPressのcron」を選択しましょう。これが自動バックアップを取るためのコマンドです。
- スケジュール設定
次は黄枠内「実行時間をスケジュール」の設定をします。
Googleアナリティクスなどを参考にしながら決定しましょう。
ここでは例として、「毎週火曜の深夜3時」に設定します。
これでスケジュールの設定は終了です。
③ファイルの設定
ここではサーバー上にあるどのファイルをバックアップするかを決める項目ですが、これは何もいじらずデフォルトのままでOKです。
④宛先:フォルダーの設定

最後にバックアップを保存する場所について指定します。
- バックアップ先のフォルダーの名前を決める
これはデフォルトのままでも支障はきたしませんが、自分がわからなくなってしまわぬよう少し追加してみると良いでしょう。
/home/◯◯◯.co.jp/public_html/wp-content/uploads/server-backup/
のようなものを含めておくとわかりやすくなります。
- ファイル削除の設定
バックアップを自動で・定期的にとっていくので、必然的にバックアップ先のフォルダーにはバックアップデータが溜まっていきます。
全て残しておくと重くなってしまいますし何より全部あっても意味がないので、ファイル内にためておくバックアップデータの数を設定します。
設定した数以上になった場合は古いものから削除されていきます。
今回、サーバーのバックアップは週一回・三か月分をとるので、4週×3か月で12このデータがあればいいので、数字を12に変更します。
全ての設定がこれで終了です。「変更を保存」をクリックして必ず保存しましょう。
自動バックアップ設定<データベース編>
データベースのバックアップを取るうえで注意したい項目は以下の二つです。
- データベースのバックアップは毎日行い、過去一か月分程度を残す
- 自動バックアップは深夜帯に行う
データベースに記録されているデータは、自分の記事などサイトの根幹をなす部分です。
これがすべて失われてしまったらジ・エンドですので、バックアップは毎日行うことが重要です。
また、二点目のバックアップを取る時間帯ですが、これは<サーバー編>の時と同じ理由で「アクセス数が一番少ない」時間帯がベストです。
ちなみに、データベースの自動バックアップ手順は基本的に<サーバー編>とあまり変わりません。
①一般設定

- ジョブ名の変更
赤枠内ではジョブの名前を変更します。今回はデータベースのバックアップ設定ですので、「データベースバックアップ」と入力します。
- ジョブタスク
黄枠内で今回チェックするのは、「データベースのバックアップ」と「インストール済みプラグイン一覧」です。

- アーカイブ形式の選択
緑枠内のアーカイブ形式の選択は、<サーバー編>でも述べた通りMac OSはTar GZip、WindowsはZipを選択しましょう。
青枠内は、「フォルダーへバックアップ」にチェックが入っているかを確認しましょう。
紫枠内はデフォルトのままでOKです。
②スケジュール設定

- ジョブの開始方法の選択
赤枠内のジョブの開始方法は、<サーバー編>と同じく「WordPressのcron」を選択します。
- スケジュールの設定
黄枠内の「スケジューラ―」で、バックアップ頻度を設定します。
毎日とることが重要ですので、「毎日深夜3時」で設定します。
③DBバックアップの設定

- バックアップする内容の確認
赤枠内の「バックアップするテーブル」のチェック項目にすべてチェックが入っているかを確認しましょう。
デフォルトですべてのチェックが入っているはずですが、万が一入っていない場合はすべて入れましょう。
- バックアップファイル圧縮の設定
バックアップデータを圧縮して容量を小さくするため、「GZip」を選択しましょう。
これはMac OS、Windowsに限らず設定します。
④プラグインの設定
ここはデフォルトのままでOKです。ファイルサイズも大きくないので圧縮の必要もありません。
⑤宛先:フォルダーの設定

- バックアップ先のフォルダーの名前を決める
先ほど同様、デフォルトのままでも大丈夫ですが分かりやすくするため
/home/◯◯◯.co.jp/public_html/wp-content/uploads/database-backup/
といったものは含めておくといいでしょう。
- ファイル削除の設定
今回はバックアップ頻度を「毎日・1か月分」としているので、30日分のファイルを保存すべく「30」を入力します。
これで<データベース編>の設定も完了となります。
「変更を保存」を忘れずに押しましょう。
データの手動バックアップ
サーバーを変える場合など、急遽バックアップを取ることが必要になったときは、「手動バックアップ」をとることもできます。
この際は、サーバーとデータベース両方のバックアップを一気に取ってしまいましょう。
手動バックアップの手順は、後述する2点を除いて<サーバー編><データベース編>と同じになっているので、これを見ながら設定すれば問題ありません。
さて、手動バックアップする際に<サーバー編><データベース編>と異なるポイントが2つあります。
まず一つ目は、サーバーとデータベースのデータを同時にバックアップするということ。

「一般設定」の「ジョブタスク」設定で「データベース」「ファイル」「インストール済みプラグイン」の3つを選ぶことを忘れ内容にしてくださいね。
二つ目ですが、これが非常に重要です。
⑤宛先:フォルダーの設定で、
- バックアップ先のフォルダーの名前を決める
部分がありますね。

このとき、絶対に過去に使ったフォルダー名を入れないようにしてください。
通常、手動でバックアップする際は
- ファイル削除の設定
において、数値を1として設定します(自動更新のようにバックアップファイルが溜まっていくことがないため)。
このとき保存先のファイル名が以前付けた名前と全く同じになっていると、今まで取ってきたバックアップデータが最新のもの1つを残してすべて消えてしまうのです。
ですので、ファイル名は今までつけたものとは違うものにしましょう。
今回上げた例ですと、
/home/◯◯◯.co.jp/public_html/wp-content/uploads/server-backup/
/home/◯◯◯.co.jp/public_html/wp-content/uploads/database-backup/
でしたね。
このどちらかの名前になっているとデータが消えてしまうので、末尾を
/home/◯◯◯.co.jp/public_html/wp-content/uploads/alldata-backup2017-11-15/
という風に換えておくと安心です。
各種設定が終わったら、画像の赤枠内の「今すぐ実行」をクリックしましょう。

これですぐにバックアップが開始されます。
バックアップデータのダウンロード
バックアップしたデータをダウンロードしたい場合は、管理画面左メニューバーから「BackWPup」から「バックアップ」をクリックします。

ダウンロードしたいファイルの上にカーソルを持っていくと「ダウンロード」の文字が現れるのでこれをクリックします。

これでバックアップデータのダウンロードが完了です。
まとめ
バックアップは、自分のWebページの生命線ともいえる大切な作業です。
BackWPupプラグインを使えば簡単に自動バックアップ設定ができますので、ぜひ設定しましょう。